動画生成の実測
「ローカルでも動画が作れます」で終わっている紹介が多いから、実際に何秒かかるかを測ったわ。
比べるときにいちばん効いたのは、モデルの優劣ではなく条件を揃えることだったの。尺も解像度も違うまま並べた秒数は、速さではなく設定の差を見ていることになるわ。だから割り直した表も一緒に置いてある。
動画生成モデル 4 本を同条件で比較
| モデル | 解像度 / フレーム | 出力の尺 | 初回 (ロード込) | 定常 | 音 |
|---|---|---|---|---|---|
| LTX 2.5 (蒸留 int8) | 1280x704 / 241f / 25fps | 9.64 秒 | 80.2 秒 | 55.1〜60.1 秒 | あり |
| LTX 2.3 (fp8mixed) | 1280x704 / 241f / 25fps | 9.64 秒 | 105.7 秒 | 70.2〜90.2 秒 | あり |
| MiniMax H3 Turbo (4 steps) | 1344x736 / 243f / 24fps | 10.12 秒 | 151.1 秒 | 141.9〜150.6 秒 | あり |
| Wan 2.2 I2V 14B (20 steps) | 832x480 / 81f / 16fps | 5.06 秒 | 225.6 秒 | 220.6 秒 | なし |
秒数をそのまま並べても、速さは出てこないわ
上の表はぜんぶ違う大きさの動画よ。LTX 2.5 と LTX 2.3 は 1280x704 を 241 フレーム、H3 は 1344x736 を 243 フレーム、Wan 2.2 だけ 832x480 を 81 フレームなの。出てくる尺も 9.64 秒と 5.06 秒で倍近く違うわ。
だから「1 本作るのに何秒」は、速さではなく作った量の差を見ていることになるの。Wan 2.2 が 225.6 秒かかったのは遅いからではなくて、ほかの 3 本より小さいものを作っているのに時間がかかった、という話ね。そこまで言わないと数字の意味が決まらないわ。
揃えられなかったものは、揃えないまま書く
解像度とフレーム数はモデルごとに得意な組み合わせがあって、無理に揃えるとそのモデルが本来出さない条件で測ることになるの。だから揃えたのは入力画像・プロンプト・seedの 3 つと、各モデルの前に VRAM を明示的に空けることだけ。残りは揃えずに、代わりに次の表で割り直したわ。
総画素数で割り直したスループット
| モデル | 総画素数 | 所要 | 処理量 | LTX 2.5 比 |
|---|---|---|---|---|
| LTX 2.5 | 217.2 メガピクセル | 約 57 秒 | 3.81 Mpx/秒 | 基準 |
| LTX 2.3 | 217.2 メガピクセル | 約 80 秒 | 2.72 Mpx/秒 | 0.71 倍 |
| MiniMax H3 Turbo | 240.4 メガピクセル | 約 146 秒 | 1.65 Mpx/秒 | 0.43 倍 |
| Wan 2.2 | 32.3 メガピクセル | 約 221 秒 | 0.146 Mpx/秒 | 0.04 倍 |
26 倍の差は、モデルの実力差ではないの
総画素数で割ると LTX 2.5 が 3.81 Mpx/秒、Wan 2.2 が 0.146 Mpx/秒。並べると 26 倍だけれど、この数字を「LTX 2.5 は Wan 2.2 の 26 倍優秀」と読んではだめよ。
工程数がまるで違うからなの。LTX 2.5 は蒸留済みのもの、H3 は Turbo の 4 steps、Wan 2.2 は 20 steps で回しているわ。同じ仕事を何倍の速さでやったかではなくて、それぞれの既定の回し方で 1 秒あたりどれだけ画が出てきたかを測った値ね。
それでも、この割り直しは役に立つわ
選ぶ側が知りたいのは「同じ待ち時間で、どれだけの尺と解像度が手に入るか」でしょう。その問いに対しては、秒数の表よりこちらのほうが直接答えているの。
音の有無も足しておくわね。LTX 2.5 / LTX 2.3 / H3 は映像と一緒に音が出るけれど、Wan 2.2 は出ないわ。あとから音を付ける工程が要るなら、そのぶんの時間は上の表に入っていないことになるの。
ここに並んでいる数字は、全部 1 枚の RTX 5090 で取ったものよ。ほかのパーツと支払額は 検証機材 に置いてあるわ。
SageAttention の有無で Wan 2.2 の所要が変わる
| 条件 | 所要 |
|---|---|
| SageAttention 有効 | 221 秒 |
| SageAttention 無効 | 346〜351 秒 |
同じモデル・同じ設定でも、1.6 倍動いてしまう
変えたのは設定 1 つだけ。それで 221 秒が 346〜351 秒になったわ。モデルも解像度もフレーム数も seed も同じよ。
これが厄介なのは、どちらの数字も嘘ではないところなの。自分の環境で測った値と、どこかの記事に書いてある値を並べても、見ているのはモデルの差ではなくこの設定の差だった、ということが普通に起きるわ。
だから、比べる相手は自分の過去の数字でも危ないの
3 か月前の自分の記録と今日の記録を並べるときも、間に環境を触っていれば同じ落とし穴に落ちるわ。このサイトの表に測定日と環境を毎回書いているのは、そのためよ。
測り方そのものを壊した回の記録は 計測のしかたで狂ったもの に置いてあるわ。上の 4 本の比較も、1 回目は捨てているの。